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Memorundum.

約5万円で高等学校教諭一種免許状(情報)を取得した話

【教員資格認定試験とは?】

教員資格認定試験|NITS 独立行政法人教職員支援機構

教員資格認定試験は、広く一般社会に人材を求め、教員の確保を図るため、大学等における通常の教員養成のコースを歩んできたか否かを問わず、教員として必要な資質、能力を有すると認められた者に教員への道を開くために文部科学省が開催している試験です。

平たく言えば「教員免許の一発試験」です。

【教員資格認定試験を知った経緯】

2023年12月頃のtwitterのつぶやきにより、教員資格認定試験の存在を知りました。

令和6年度以降からの教員資格認定試験について|文部科学省

初回に挑戦するか悩むも、(2004年を最後に休止した試験課程であり、新課程の)経験者は当然おらず、どのような勉強をすれば良いか分からなかったこと、自分の状況として仕事で手一杯だったこと等々を総合的に鑑みて受験自体は見送りました。

【受験したきっかけ】

それでも資格自体には興味があったので、公式HPを定期的にウオッチしていたところ、初回(2024年実施)の1次合格者一覧と2次試験(最終)合格者一覧を見た際に、人数差がそんなにないように感じたこと、2次試験を頑なに非公開としていることから「これ1次試験通った人ほぼ通ってないか…?」との思いに至りました。
そのうえで過去問と複数の受験体験記が出てきたことで、教職教養を勉強して、二次試験対策をすればよさそう…というのが見えてきて、ダメ元でも挑戦してみることにしました。

【0次試験:受験手続】

引き続き公式HPを見ていると「試験期間を前倒します」とのお知らせが…

令和7年度以降からの教員資格認定試験について|文部科学省

教員資格認定試験実施日の早期化について

 令和7年度試験以降については、昨年度より1か月程度早い実施とする。

えっ、前倒し?!と驚きつつも、結果的に業務の繁忙期を避けられることになり、なおのこと意欲が湧いたのでいざ受験するぞと決意して受験手続きへ…ところがこの手続きがなかなか厄介。もはや0次試験。

①受験願書をテレメールで請求
→指定の期間に専用サイトで依頼して郵送してもらう。受領後、払込票で代金415円を支払い。面倒。

②必要書類の書き集め
→基本的には上述のテレメールで請求した資料に基づき準備すればよいが、それにしても面倒。詳しくは下記受験案内を見てもらいつつ、私が手こずったものだけ抜粋します。

令和7年度 高等学校(情報)教員資格認定試験 受験案内 |NITS 独立行政法人教職員支援機構

・住民票(本籍あり)or 戸籍抄本
→大体の人は住民票でなんとかなる。人によっては戸籍抄本かも。私もコンビニで発行しました。

・顔写真(4.5cm x 3.5cm
→これ、普通の履歴書サイズ(4cm × 3cm)よりちょっとだけ大きいんです。手元にあった証明写真は使えなかったので撮り直し…。

・高等学校の卒業証明書
→色々列挙されていますが、要は「①高校相当の学校の卒業証明書」「②大学に入学した・卒業した証明書」「③教員免許をすでに持っている又は過去の教員資格認定試験受験者・その他」の三択です。私は①か②しかないところ、②で大学卒業証明書を出す方が手続きも費用も安価だったので依頼しました。
(なお、一般的に、この試験の申し込みシーズンの1月~2月は、大学の試験期間と重なることが多く、証明書の発給にに大幅に時間がかかります、お気をつけて…。)

・情報処理技術者試験の応用情報技術者試験,高度試験又は情報処理安全確保支援士試験の合格証明書
→結論として「登録セキスペで登録証を持っている人」以外はIPAでの合格証明書の発行が必要です。私の場合、応用情報処理技術者、情報処理安全確保支援士(※未登録)、ネットワークスペシャリストの3つから選べたのですが、二次面接での志望動機が喋りやすそう…との理由から、あえて直近に取得したネスペでなく、未登録セキスペの証明書で提出しました。
これも2~3週間かかるのでお気をつけて。

合格証明書の交付手続き| IPA 独立行政法人情報処理推進機構

・その他、受験票においては過去の職歴等の記載も必要です。

【1次試験に向けて勉強した参考書等】

◯諸先輩の体験記
→どのような試験なのか、どういう雰囲気なのか、どんな対策をされたのか、を情報収集しました。

・宵働きさんのブログ
→受験の決め手になったくらい分かりやすい記事でした。
(有料記事も大変参考になりました。)

高等学校(情報)教員資格認定試験マガジン|Yoibataraki (note))

・木崎悟1さん「高等学校(情報)教員資格認定試験の考察」
→会場の雰囲気等々、参考になりました。

https://conference.ciec.or.jp/pdf/2024pcc/pcc053.pdf

◯教職教養に関する参考書
→諸先輩の体験記も踏まえつつ、近所の大型書店に行って、教員試験の本棚を物色…。長考の末、↓の本達を購入しました。
教職教養の2冊をまずは読み切り、そして短期完成でどこが問われるのかを掴んだあと、教育時事を読んで、指導要領も見て…と徐々に深めていった感じです。
小論文については、情報処理技術者試験でも色々書いてたし、まぁなんとかなるだろ、という思いのもと、「教員向けの小論文の書き方」を学ぶべく一冊購入しました(面談対策や小論文のネタ理解にも有益でした)。

【1次試験受験&合格後】

いざ、試験会場に行って一次試験。
択一はまぁ大丈夫かなぁ…と思いつつ受けた小論文でテーマを見て頭が真っ白に…。用語がわからないなりに色々書きながら時間切れギリギリまで格闘しました。
後日自己採点して、択一はどうにか合格点をクリアするも、論文はダメダメだろう、と諦めて2次試験の勉強はやめていました。

その後、1次試験の結果発表日なので見てみるか…と開いたところ見覚えのある受験番号が…。急いで2次試験に向けた追加の勉強を再開しました。

【2次試験に向けて勉強した参考書・動画等】

◯諸先輩の体験記
→やはり頼りにするのは先達…と思って色々読み込みました。

・宵働きさんのブログ(前掲)
→二次試験の記事を課金して勉強しました(そして実際にとても有益でした。)

単位なし教育実習もなしで情報科の教員資格を取れた話|yusukesakai (note)
→試験の雰囲気をつかめてよかったです。

◯2次試験対策の参考書(購入)
→諸先輩の体験記も踏まえつつ、近所の大型書店に行って、再度教員試験の本棚を物色…。長考の末、↓の本達を追加購入しました(※一部電子書籍です)。
「指導と評価の一体化」については電子版は無料で読めますが、紙媒体がほしかったのであえて購入しています。

「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料

◯2次試験対策の参考書(図書館で閲覧)
→諸先輩の体験記も踏まえつつ、図書館で読んで見ました。有益ではあったものの、1回読めば十分かなぁ…何ならYoutubeとかでも代替できそう…と思った次第。

◯教員研修用教材
→文部科学省が公開している「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の教員研修用教材です。授業の流れを考えるなど、無料で必要十分な資料になっています。

高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)|文部科学省

高等学校情報科「情報Ⅱ」教員研修用教材(本編)|文部科学省

◯Youtube
→試験が近づいてきたところで、指導案作成、模擬授業について学ぶべく見ました。特にNITSの公式動画は最初に見ておけばよかったくらいのクオリティでした。

◯Plant
→「全国教員研修プラットフォーム」という教員向けの研修サイト。先生を目指す人たちも会員登録の上、閲覧OKとなっています。情報関係の科目をダーッと登録して色々見て、模擬授業のイメージを作るのに有益でした。

Plant 全国教員研修プラットフォーム|NITS 独立行政法人教職員支援機構

【2次試験対策に行った勉強】

◯模擬授業シミュレーション
→合格人数と試験日程(1日しかない)ことを考えると、模擬授業はせいぜい10〜15分程度では…との見込みのもと、冒頭の練習、展開の仕方などを中心にイメトレしました。

◯個別面接対策
→諸先輩の体験記を踏まえつつ、「まぁ面接で聞かれるとしたら転職と同じような面接かなぁ…」と勝手な見込みのもと、「なぜこの試験を受験した?」「なぜ教員を目指したい?」「どんな教員になりたい?」「いつから教員になりたい?」など、教員に転職しようとしたら聞かれそうなことを予想して、どう答えるかイメージトレーニングをしてました。

【2次試験&手応え】

NDAがあるので何もお答えできません。スーツの人もそうじゃない人もそれぞれにいたなぁ、という印象です。私はお昼用に持ってったおにぎりが緊張のあまり食べ切れませんでした…笑
ドタバタしましたが、準備はやれる限りやって、その成果は出し切れたな、と思って試験会場を後にしたのを覚えています。

【2次試験結果&最終合格後】

公式サイトで番号を確認後、翌日には合格証書↓を受け取りました。
(一応、証書の割り印と文科省の印鑑にはモザイクもどきを入れました。)

なお、強気にも「合格するはず!」と思い、申請手続き用の書類は事前に準備を進めており、加えて在住地域の教育委員会は「合格証明書又は合格証書のコピー」で申請可能だったので、有料の必要アイテム(戸籍抄本、普通為替、レターパック等2)を合格発表当日に一気に調達し、受領した翌日には郵送で免許申請を行いました。今年度の合格者で最速の申請なんじゃないかと勝手に思っています。順調に行けば11月下旬には免許状が届くはずです3

【結局いくらかかったのか】

→結局ざっくり46,300円くらいかかったようです。 (いくつかレシートを残していなかったりするので、多少誤差があるかもしれないです。)
そもそもの受験資格となる応用情報技術者(以上)の試験代は含んでいませんし、毎日の行き帰りの勉強時間、夜の勉強時間のコーヒー代、試験当日の弁当代…と考えればキリがないので最低限、ということで…。
私は試験会場近郊に住んでいましたが、遠方から来られる方は受験会場までの宿泊費・交通費で更に負担が増すのだと思います…。

<内訳>
・受験料 25,000円
・受験手続費用 約3,800円
(テレメール、証明写真、住民票、卒業証明書、合格証明書、送付手数料)
・参考書籍・参考記事購入費(一次試験)約9,000円
・参考書籍・参考記事購入費(二次試験)約6,000円
・教員免許申請料 3,300円
・免許手続費用 約2,000円
(レターパックx2、ハガキ、コピー、戸籍抄本、普通為替発行手数料)
・受験会場までの交通費(1次試験・2次試験) 約1,000円 

【教員資格認定試験(高等学校情報)の受験を検討している方へ】

◯受験手続き(と免許申請)が個人的最難関でした
→とにかく受験手続き資料集めが大変です。
興味がある人は年末年始くらいから手続きを進めておくことを推奨します。定期的な公式サイトのチェックも忘れずに。(来年の試験日程もどうなることでしょうか…。)

◯教職教養、教育史、直近の学習指導要領を頑張れ
→詳しくはyoibatarakiさんの記事を読んでいただくのが良いですが、1次試験での情報科目の問題の割合は低いです。当然ながら、そのような知識は(資格によって)すでに担保されているので、教育部分の知識が非常に求められます。過去問も参考にしつつ、教職関係の科目に力を入れた方がよいと思われます。

◯小論文は頑張れ
→1年目、2年目でも大分テーマが異なります(ただ、聞かれる事自体は難しすぎない印象です)。教職教養・学習指導要領等をよく読んで用語を理解する必要があると思います。

◯2次試験対策もしっかりしておこう
→他の受験者(と思われる方)もぼやかれている件につき、私も同意見です(受験前の予想がほぼ近いように思います)。
ただ、2次試験にたどり着ける時点で、一定程度優秀な人材であり、教員への思いがある方が集まっている(=1次合格者≒2次合格者)というバイアスの可能性もあるのでなんとも言えませんが…。
とはいえ、それが故に「あまりにも指導力がない」と思われると振り落とすのかもしれません。油断せず、十分な準備をすることがよいと思います。

◯これまでの諸先輩の体験記、今回合格した同期(?)各位の体験記も見てみよう
→受験者数も合格者数も少ない資格試験です。その割には皆さん積極的に体験記を残してくれています。私の駄文もその御役に立てたら幸いです。

◯(個人的予想ではありますが)興味があるなら早めに受けておこう
→先日の中教審の教員部会の資料や報道等でもあるとおり、「教員資格そのものの取得のあり方」について見直し・検討が進んでいること、2027年度には高等学校の学習指導要領が改定されることが見込まれていること、の2点に鑑みると、来年・再来年あたりで試験での対象となる学習指導要領が変わること(=これまで勉強してきた内容と違う内容を覚え直す必要が生じる可能性)や、そもそも試験の存否自体が見直されることが起こり得るのでは?と予想しているところです。興味があるのであれば、来年の試験を受験するつもりで、少しずつでも準備を進めてみるのがよいかもしれないです。

次期学習指導要領改訂に向けて|リクルート進学総研(2025/07/10)

前回と同様のスケジュールであれば、高等学校は2027年度に改訂され、2032年度に年次進行で導入されると想定される

学習指導要領改訂、焦点は「実現可能性」 教師の裁量広げ専門性発揮 中教審・貞広斎子主査と文科省・武藤久慶教育課程課長に聞く〈上〉|日本経済新聞

学校教育の内容の基準や指導方針を定める学習指導要領のほぼ10年に1度の改訂作業が進んでいる。

多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理|文部科学省(中央教育審議会 初等中等教育分科会 教員養成部会)

  1. なお、著者の方はGoogle検索すると合格されたようで、公立の情報科教諭に勤められているようです。 ↩︎
  2. さらっと書いていますが、戸籍抄本はコンビニで取れず急遽年休と取って役場に行く羽目になり、「ええ、普通為替なんです…いやだから定額小為替じゃなくてぇ…」と郵便局窓口で局員さんと話をすることになるなど、もはや3次試験でした。 ↩︎
  3. 後日、教員免許状が届いたら追記しようと思います。 ↩︎